東京都労働相談情報センター

解雇に関する相談事例

 

1.突然に解雇予告

相談内容
パートタイマーとして1年間勤務。突然店長から「忙しくなると周囲に怒鳴り、業務進行の妨げになると皆、困っているので、1ヶ月後にやめてもらう」と言われた。相談者との折が合わないリーダー格の同僚が、仲の良い店長に相談者の悪口を日頃から話しているためと思われる。その後も出社しているが、店長に相手にされない。「このままでは自分だけが悪者扱いになり、到底納得いかない。何とか自分の言い分も店長に聞いてほしい」と来所。
経過・対応
センターが店長に事情を聞いたところ、「他にも店舗があり、各店舗の巡回で忙しいため、相談者の勤務する店舗は、長年勤務しているリーダー格の同僚に状況報告を任せている。皆がこれ以上一緒に仕事ができないと言っているので1ヶ月後に辞めてもらうことにした」との話。また「1ヶ月経ってやめてもらうのであれば、問題ないのではないか」との主張であった。
センターでは、(1)解雇する場合には、30日以上の解雇予告期間をおけばよいわけでなく、合理的な理由が問われること、(2)事実関係について相談者から事情を全く聞かないのは、公平性・正確性の面から問題があること、(3)会社には労働者が働きやすい職場環境づくりに配慮する責務があることを説明。店長は、相談者から事情を聞くことを含め、事実関係を調査し、対応を検討することを約束。
相談者は店長との話し合いの中で「現在の職場ではもう仕事を続けたくない。一連の対応について誤りを認めてほしい」と主張。その結果、(1)一連の対応について、店長が相談者に謝罪、(2)残り期間の賃金に加え、一定額の解決金を支払うこと、で両者が合意し、解決した。

2.解雇予告手当の不払い

相談内容
試用期間中なので、解雇予告手当を支払わないと言われた。
経過・対応
経営者に事情を聞いたところ、従業員を採用したが、当初より仕事に対する積極性が見られず、実績も芳しくない。思い余って2ヶ月で解雇を通告したところ、解雇予告手当を要求されたという事情であった。労働基準法の規定では、試用期間でも採用後14日を経過すれば解雇予告手当の支払義務が生じる。このことをセンター職員が説明した結果、予告手当が支払われることになった。

3.解雇通告後の有給休暇取得等

相談内容
パートタイマーとして10年間勤務している。経営者が代わり、それに伴って事業方針も変えるということで、3人いるパートタイマー全員を解雇するとの通告を受けた。これまで有給休暇は取ったことがない。また、退職金ももらいたい。
経過・対応
センターではまず、相談者に有給休暇の取得や退職金支給に関してその要件などを説明した。その上で、(1)有給休暇の取得を請求すること、(2)退職金については就業規則や前例(過去にもらった人がいるかどうか、その額はどれくらいか等)について調べること、などをアドバイスした。
相談者から上記の点について経営者に説明を求めたところ、「有給休暇については前向きに検討する」、「退職金は支払うが就業規則には明記されていないので、金額等は未定である」との回答であった。センターでは退職金について、(1)どこかに積立をしているか、(2)その額はいくらなのか、を明確にしてもらうように説明。
その後、経営者がセンターに来所。「今まで事務を取り仕切っていた人が急になくなり、困っている。年次有給休暇や退職金について教えてほしい」とのことであったため、『職場に活かす使用者のための労働法Q&A』等の資料を渡して説明した。
相談者から(1)有給休暇の取得が認められた、(2)退職金は「中小企業退職金共済制度」に加入していることがわかり、そこから支払われることになった、との報告があった。