セミナー・労働教育
「副業・兼業制度のポイントと企業に求められる対応~スポットワーカーの労務管理も解説~」質疑応答
オンラインセミナーの内容について受講者よりいただいたご質問に対して、セミナー講師よりご回答いただきました。(令和8年9月4日まで掲載)
回答者(講師)
弁護士 堀田 陽平 氏
【質問1】
【質問①】
A社(本業、正社員雇用):フレックスタイム制(所定8時間、週5日勤務)、休日は土曜・祝日を法定外休日、日曜を法定休日とし、36協定締結済み
B社(副業、アルバイト雇用):シフト制、A社の出勤日は勤務せず、土日祝のいずれか一日に8時間勤務する
上記の場合、 ①どのように労働時間の通算が行われると考えられますか? ①'A社の36協定の時間外労働・休日労働には、A社に加えてB社で勤務した休日労働日数・時間が加算されますか? ①''A社で週40時間勤務しているため、B社での勤務は原則全て割増賃金になりますか?
【質問②】
A社(本業、正社員雇用):フレックスタイム制(所定8時間)所定8時間、休日は土曜・祝日を法定外休日、日曜を法定休日とし、36協定締結済み
副業:A社の出勤日は勤務せず、土日祝のいずれか一日に8時間、スポットワークする
上記の場合、質問①に加え、 ②実務上、事前申請・許可はスポットワークの都度行うと想定されますか?
【回答1】
【回答①】
A社でのフレックスタイム制、B社でシフト制(フレックスタイム制)でない場合の扱いは、極めて難しいもののガイドラインではなくQAと解説資料では言及されています(本講義では複雑すぎるため大幅に省略しています。)。 具体的には、A社ではフレックスタイム制を前提として、B社では「A社では1日8時間、週40時間働いたものと扱って」、労働時間を通算することになりますので、①'については、B社で勤務した休日労働日数・時間が通算されます。①''についてもB社での勤務は全て割増賃金となります(1日8時間、週40時間と扱われるため)。 具体的には以下をご参照ください。
・https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001079959.pdf
・https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000964082.pdf
なお、講義内でも言及しているかもしれませんが、理論的には疑問のある通算方法だと思います。
【回答②】
①スポットワークの場合も、労働基準法の適用がある以上、上記質問①と同じ考え方になります。 ②については、事前申請・許可についてどのような申請・許可を受けさせるべきかについてガイドライン等では指定はなく、各会社ごとに決めることになります。スポットワークの場合ですと、⑴都度申請させる、⑵一定期間区切って申請させる、⑶一定期間区切って申請させ、かつ、業種を限定し(例えば飲食業)、当該業種以外の業種でスポットワークする場合は再申請させるという運用が考えられます。 運用負担と競業リスクを勘案してお決めになられると良いかと存じます。
【質問2】
【質問①】
安全衛生管理についてですが、深夜時間帯に働く人が、冷房のない暑い部屋でしか休憩ができないそうです。このようなときにどこに相談するべきか、どのような主張ができるのかなどを知っておきたいです。
【質問②】
P.78の大器キャリアキャスティング・ENEOSジェネレーションズ事件の例で、仮にA社での副業がなければ、Xの過失は認められず損害賠償請求が認められる可能性は高かったでしょうか。
【回答2】
【回答①】
仮に自社の従業員が副業している副業先での安全衛生管理の点がご懸念であるとすると、本業先としては、副業先に直接安全管理を求めることはできず、従業員を介して副業先に対して安全管理を求めるよう指示するか、そのような副業先での副業を辞めるよう(命令ではなく)求めることが考えられます。仮にこれにより本業先での業務にも支障が生じる可能性がある場合には、副業の取消が考えられます。
【回答②】
前提として大器キャリアキャスティング・ENEOSジェネレーションズ事件では、Y1社(大器CC)との関係では損害賠償請求が認められ、Xの過失相殺も認められていますので、ご質問の趣旨としては「A社での副業がかねればXに過失相殺が認められなかったか」と理解しました。その前提で回答いたしますと、本件ではA社での副業が大きな過失相殺の要素となっていますので、Xの過失は認められなかったであろうと思われます。ただ、A社での労働時間を抜きにしてY1社の安全配慮義務違反を認めたかは不明です。
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