非正規労働者雇用環境整備支援事業
企業名
アリオン株式会社
所在地 : 品川区東五反田1-24-2
業 種 : IT情報機器のテスト試験サービス
資本金 : 8,000万円
従業員数 : 31名 (うちパート7名)
企業URL : http://www.allion.co.jp
(2008年6月現在)
取組内容
職務・能力に応じた人事・賃金制度
パート社員の職務内容に基づき4段階の職務等級を設定し、明確な基準により格付け、職務・能力に応じた処遇を行っています。
人事評価は、年4回実施し、昇格に反映しています。賃金は職務等級にリンクした賃金表により決定され、職務内容・技能・経験等に応じて昇給する仕組になっています。
正社員への転換制度
本人の希望や勤務成績等により、パート社員から正社員へ転換できる制度を導入しています。
教育訓練や健康診断の実施
教育訓練については、パート社員に受講機会を付与し、定期健康診断は、所定労働時間が短いパート社員にも受けられるよう制度を整備しています。
大幅な改善を行い、経営トップが先頭に立って熱心に取り組み、従業員にも制度の周知が徹底しています。
(2007年2月7日モデル企業指定)
トップインタビュー
それぞれの生活に沿ったワークスタイルと
公正な評価による個別契約を実現
アリオン株式会社
代表取締役 大原 稔 さん
信頼、技術、人事コスト……すべてに影響する人材の確保
パソコン本体やソフトウェア、携帯電話といったIT機器の開発に欠かせない品質保証テストや認証取得サービス。アリオン株式会社はアジア諸国を中心にこれらの事業を展開するグローバル企業・アリオンの日本法人だ。
「スタッフ全員が働きやすい環境をつくり、優れた人材に長く勤務してもらう。IT機器の評価を通してクライアント企業の製品開発をサポートするという当社の事業内容を考えれば、これはとりわけ重要な課題だと言えるでしょう」と同社の代表取締役を務める大原稔氏。
「開発段階の製品をお預かりして評価を行うわけですから、守秘義務などの点から見てもお客様に信頼していただくことが不可欠。しかしフルタイム、パートタ イムを問わず社員が頻繁に入れ替わるような状況ではそれは難しいでしょう。
当社では製品を検査するだけでなく、不具合の原因を切り分けてレポートも提出す るなどまさに開発そのものの一端を担う形になるため、業務を行うにも高度なスキルが必要です。今、仮にスタッフが一人離職し、別の人を雇って新たに教育す るとなると、そのコストは決して小さくない。そこで誰にとっても仕事がしやすく、モチベーションが上がるような制度を整備することが必要だと考えたので す」
社員それぞれの職務や能力に応じた評価システム、年四回の評価面談、個人のライフスタイルに沿った勤務時間の設定、
そしてさまざまな研修や資格取得支援制度……。
これらはパートタイムも含めた全社員に適用される。また、パート社員から正社員への転換制度も導入された。
「当社ではアルバイトと正社員という言い方はせず、フルタイム社員、パートタイム社員という名称を用いています。
そして名前の通り、両者の違いは勤務時間、また月給制か時給制かという給与体系の違いだけなのです」
年四度の評価面談により、互いの合意で能力を評価
台湾に拠点を置き、韓国、中国、北米など各国で事業を行うアリオンの人事待遇の基本ポリシーは、「雇用条件は会社と社員一人ひとりとの個別契約で決定される」というもの。パートタイム社員についてもこの原則は変わらない。
「IT機器の検査では、個人の熟練度が生産性に大きく影響します。そしてパートタイム社員のなかにも長期にわたって勤務し、高度な検査を行っている人がい る。ボトムラインとしての統一規定はもちろん必要ですが、そこにプラスアルファする形で、給与や待遇に個人の能力を反映させる。これはフェアかつ当然のこ となのです」
この判定のために実施されるのが、年に四度の評価と面談。あらかじめ公にされた基準をもとに、最低二人の役員が評価にあたり、本人へ結果をフィードバック。場合によっては社長も参加し、双方が合意に至るまで話し合う。
「すべての社員に面談し、全員に納得してもらうのは確かに骨が折れます。しかし、自分の評価に対する基準が理解できることで皆やる気を出してくれたように 思いますね。また、面談は会社の方向性を社員に伝える絶好の機会でもあります。会社が社員に望むことと社員が努力してくれているポイントが食い違っていた ら、それは両者にとって大変不幸なこと。面談はこのズレを解消する上でも大切です。結局、管理職の本来の仕事は、会社の求めることを社員に伝え、部下を正 しく評価することだと思うんです」
生活スタイルの尊重と機会の提供でさらにやる気を引き出す
現在同社に勤務する社員は31人。うちパート社員は7人と約4分の1を占める。年齢は20代から60代までと幅広く、学生、主婦、定年後の再就職者とプロフィールもさまざま。勤務日もそれぞれに異なり、終業時間も5時、6時、7時とフレキシブルだ。
「大学に通っている人。小さなお子さんのいる人。家族の介護をしている人。皆、ご自身の生活に沿って、パートタイムという働き方を選択されています。その なかで自身の能力を発揮していただき、事情が変われば正社員にもなれる。こうした理念のもとに制度を整備した結果、フルタイム、パートタイムの違いは単に 勤務時間の違い、という考え方が社内にも浸透したと思います」
日々進化するIT業界にあっては、社員一人ひとりの技術の底上げも重要な課題。必要な知識、技能をフォローする社内研修をパートを含めた全社員に提供する ほか、上級システムアドミニストレーターなどの技術系の資格、さらに簿記検定や英検、中国語検定など、業務に必要な資格の取得を推奨し、サポートも実施。 社員ごとに外部の研修も含めた研修受講履歴を作成して技能向上を図っている。
「業績を伸ばし、その利益をより多く社員に還元するには、置き換えの効かない貴重な労働力をいかに育て、守っていくかが重要。パートタイム社員は毎日出勤 する社員に比べると技能の上がり方がゆっくりなので、それをバックアップする制度も整備したいですね。そして活気にあふれ、誰もが楽しく明るく仕事に取り 組める職場づくりを継続できればと考えています」
従業員の声
時間に融通を利かせながら
やりがいのある仕事に取り組める
技術担当
神戸 康太郎さん
通信制の大学に在学しており、学業と両立できる仕事を探していたのですが、どの会社でもなかなか難しい。そんなときにアリオンと出会い、入社の2006年4月から数えて3年目を迎えます。
勤務は週4日ですが、仕事の内容はフルタイムとパートタイムで差はなく、個人のスキルにあわせて決定します。私はロゴプログラムなどを担当し、残業することもありますので、固定給か時間給かという給与の制度以外はあまり違いを感じないですね。
試作機のテストという仕事はそれ自体大変興味深いのですが、技術もどんどん進化するので新しい技術・知識を学び続ける必要があります。社内の研修でそうし た知識を教えてもらえるので非常に助かります。資格取得も支援してくれるので、今度はモバイルシステム技術検定を受けたいですね。
アリオンは勤務スタイルも柔軟で働きやすく、福利厚生もしっかりしていて、今まで勤務したなかでも一番の会社。大学卒業後のフルタイム社員への転換も視野に入れ、今後も頑張っていきたいと考えています。
子供がいても働きやすい環境で頑張った分だけ評価してくれる
技術担当
菅原 ゆかりさん
2007年6月に入社し、週5日間、10時から5時で勤務してまもなく1年になります。
IT系の仕事は初めてで専門知識もなく、正直本当に勤まるか不安なところもありましたが、
分からない部分は上司がそのたびに教えてくれるので、本当に有り難かったですね。
小学3年生と1年生、2人の子供がいるのですが、以前にパートタイムで働いていた接客の仕事では、なかなか定時に上がることができず困っていました。
一方 アリオンでは勤務時間も規定通りしっかり守られていて5時にはすぐ上がれますし、学校の行事などがあるときは早めにお願いしておけば休みも取れる。これに は大変助かっています。
さらに、そんな本当に働きやすい環境がある上、年に4回も評価の機会がある。やればやっただけ頑張りを認めてくれるとなると、やはりやる気が出ます。
最初は続けられるか不安でしたが、何より環境が素晴らしかった。1年間も続けられたことが、その証だと思っています。
お問い合わせ先東京都産業労働局 雇用就業部 |