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非正規労働者雇用環境整備支援事業

企業名

写真:社会福祉法人白百合会

社会福祉法人白百合会

所在地 : あきる野市三内485-1
業 種 : 特別養護老人ホーム等
基本金 : 1億3,000万円
従業員数 : 74名 (うちパート19名)
企業URL : http://www.masuko-home.com
                                (2008年6月現在)

 

取組内容

パート社員と正社員間の相互転換制度

本人の希望や資格・能力等によって正社員への転換が可能になっているだけでなく、
本人のライフステージに合わせて、正社員からパート社員への相互転換も可能になっ
ています。

正社員と同じ基準の賞与・退職金の支給

正社員と同じ基準で賞与(出勤日数等による調整あり)や退職金を支給しています。

健康診断の実施等

健康診断を法定義務のない短時間のパート社員に実施しています。また、食堂や制服等の福利厚生について正社員と同じ扱いをしています。
「職員の満足感があってはじめて利用者の満足が生まれる」との方針のもと、パート社員の処遇の改善を行っています。

(2007年3月27日モデル企業指定)

 

トップインタビュー

写真:社会福祉法人白百合会施設長

"人を尊重する"を基本理念に介護業界のなかで圧倒的に低い離職率を実現


社会福祉法人白百合会
増戸ホーム施設長  渡邊 哲伸 さん

 

 

 

正職員、パート職員双方向の転換制度でライフスタイル合った働き方が選択できる

「私たちの施設では、全経費に占める人件費の割合が70%を超えます。この数字ひとつをとっても分かるとおり、少なくとも日々の業務においては、"人がす べて"。マンパワーがなければ、すべてが滞ってしまいます。それだけに、正職員、パート職員の区別なく、一人ひとりが前向きに働ける職場をつくることは、 施設運営の必須課題なのです」

特別養護老人ホーム「増戸ホーム」の渡邊哲伸施設長は、1974年の開設以来、雇用環境の整備に継続的に取り組んでいる理由についてこう説明する。

増戸ホームは、社会福祉法人白百合会が運営する定員100名の特別養護老人ホーム。職員の処遇制度をはじめ、その先進的な取り組みが注目を集めている。

具体的な施策として、まず挙げられるのがパートから正職員への転換制度だ。これは例えば、「介護福祉士」の資格を持ち、フルタイムでの勤務が可能であれば、パート採用であっても、希望に応じて正職員になれるというもの。すでに複数の職員が制度を活用している。

「制度を導入して感じるのは、これがパート職員のモチベーションアップにも大きく貢献しているとい うことです。介護の現場で働く以上、介護福祉士の資格を取りたいと思う者は少なくありません。しかし現実には日々の仕事に追われ、思うように勉強の時間が とれない。そうしたなか、正職員への転換という直接的に報酬にもはね返ってくる具体的な目標が加わることで、試験勉強への意欲もずいぶん向上しているよう に感じます」

一方、同ホームでは子育てなどの理由で勤務時間の短縮を希望する人のために、正職員からパート職員への転換も認めている。正職員、パート職員双方向の転換制度により、すべての職員がライフスタイルに合った働き方を選択できるというわけだ。

 

正職員と同じ基準でパート職員にも賞与を支給

そのほか、夜勤手当、早出手当といった職務手当の支給、通勤交通費の支給、福利厚生施設の利用、健康診断の実施などにおいても、増戸ホームでは正職員とパート職員との間で区別を設けていない。

さらに、介護業界はもとより、他の業界でもなかなか見られない取り組みとして、パート職員に対して正職員と同じ基準で賞与(基本給の3.8カ月分 ※1 。2006年実績)、退職金を支給するという制度も導入している。介護の現場では、正職員もパート職員も業務内容はほとんど変わらない。その意味では、処遇面もできる限り平等に、というのが基本的な考え方だ。

「当ホームには、"人を尊重する"という理念があります。さまざまな制度は、それに基づいて課題をひとつひとつ解消してきた結果」 と渡邊施設長はいう。

そしてこうした進んだ取り組みは、現在、深刻な人材不足が社会問題にまでなっている介護関連業界のなかで、確実に成果を上げている。なかでも、目を見張るのが離職率の低さだ。

財団法人介護労働センターの調査によれば、介護職員(訪問介護員を除く)の一年間の平均離職率は24.0% ※2 。およそ4人に1人は辞めてしまうという状況だ。それが増戸ホームでは、07年度で10.4%。結婚や妊娠などによるものを差し引くと6.5%。退職者は15人に1人以下という計算になる。

「採用や教育にかかるコスト等を考えても、離職率の低さは経営面で大きなプラスです。しかしそれ以上に重要なのは、このことが施設の利用者の方たちに大きなメリットを提供するということなのです」

※1 賞与のベースとなる基本給は、正職員が月給、パート職員が時給で、算定基準は異なる。
※2 平成18年度 介護労働実態調査より。

 

職員が利用者一人ひとりときちんと向き合える環境を実現

2005年の移転を機に、増戸ホームは従来の集団ケアからユニットケアへと介護方法を変更した。ユニットケアとは、利用者を10人程度のグループに分割。 個々の利用者に担当の介護員が付き、入浴や食事を一貫してサポートすることで、より家庭的な雰囲気を提供しようというものだ。

「例えば入浴でいうと、集団ケアの場合、部屋から浴室に案内する人、脱衣を手伝う人、体を洗う人が別々になることが多い。するとどうしても、介助が作業的 になりがちです。それに引き替え、ユニットケアでは担当者がすべてを行いますから、交流も密になりますし、利用者の小さな変化にも気づくことができるので す」

とはいえせっかくユニットケアも、介護職員の離職により、担当者がコロコロと変わってしまっては真価が発揮されない。その意味で、職員の離職率の低さは、そのまま利用者のメリットにもつながっているのである。

人材の流動化が著しい介護業界では、自分に合った職場を求め、いくつもの施設を渡り歩く人も少なくない。そうしたなか、「ここなら恵まれた雇用環境のなか、やりがいのあるユニットケアを実践できる」と増戸ホームに腰を落ち着ける人も複数いるという。

ある女性誌が企画した「パートに優しい会社 全国ベスト36」にも選ばれた増戸ホーム。その責任者である渡邊施設長が考える、介護施設における理想の職場環境とはどんなものか、最後に聞いた。

「『入居者のKさんは今日も元気かな』『Tさんの調子はどうかな』。朝起きたとき、職員のなかに自然とそうした気持ちが浮かんでくる。これが大切なんで す。雇用環境の悪さが原因で、後ろ向きな気持ちが生まれるようではいけない。もちろん職業に上下はありませんが、介護の仕事をしている人たちは、もともと 強い思いや志を持っています。今後も、その志をより高いレベルで実現できる環境をつくっていきたいと考えています」

 

従業員の声

写真:社会福祉法人白百合会職員

正職員、パート職員に関係なくお互い思ったことが言い合える


介護職員  
川久保 悦子 さん(31歳)

 

 

 

 

診療所での医療事務、公立の訪問看護ステーション勤務などを経て、1999年、増戸ホームにパートの介護職員として転職してきました。当時からパートにも 賞与が支給されていて、経済的にはずいぶん助かったのを覚えています。実際年収にすれば、正職員として医療事務をしていたときの収入とあまり変わりません でしたから。

その後、転換制度を利用してホームの正職員となり、現在に至っています。食事や入浴の準備に介助、排泄のお手伝いなど、あっという間に1日が過ぎてしまい ますが、ふとしたときに利用者のお年寄りから「ありがとう」などの言葉をもらうと、「やっぱりこの仕事をしていてよかった」と思いますね。

うちのホームの職員は、明るい人が多く、お互い思ったことを言い合える。制度ばかりでなく、職場の雰囲気としても正職員、パート職員の区別はありませんから、"本気で介護の仕事がしたい"という人には、ぴったりの施設だと思います。

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